カナダスタートアップビザ取得成功へのアプローチ

スタートアップビザ参考情報 (1)

(Updated: 02-2023)
米国 H-1B ビザ認可要件改定により、北米で起業を目指していた人材が、米国からカナダに起業投資先を変更する流れが加速するとの見方が強まっております。ドナルド・トランプ米大統領が 2020年10月に行った米国労働省管轄・ H-1B ビザカテゴリーの規定賃金水準引き上げ決定以降、高度スキルの技術系外国人労働者の米国就労ビザ(H-1B)認可がより困難なものとなりました。これは米国・国土安全保障省が、米国で現在約60万人が就労中の H-1B プログラムに関する前述の申請要件の引き上げに対応したものです。これによりインド等からの先端技術・AI 関連分野の高スキルを持った外国人労働者の米国での雇用が更に困難なものとなり、米国ハイテク産業にとって打撃になると見られております。

この状況下で北米での起業・投資を考えている多くの外国人投資家・企業家は、投資先を米国からカナダに変更、カナダ投資ビザ・スタートアップビザの検討を始めております。このプログラムは、一定の資格基準を満たした起業家・ベンチャー投資家の方々にカナダでの起業・カナダ永住権取得の機会を与えるもので、カナダ移民局が指定・認可した下記三つのベンチャー投資タイプがあります:

Canadian venture capital fund
Canadian angel investor group
Business incubator

上記カナダ移民局が指定する投資ファンド(Fund・Incubator) とのオンライン面接のプロセスを経て、起業・投資家から提出されたビジネスアイデア・ビジネスプランが認可されますと、投資ファンド(Fund・Incubator) から "Letter of Support" が発行され、就労ビザ申請・認可 ⇒ カナダ国内のベンチャー機関で 12-18ヶ月就労 ⇒ カナダ永住権認可の段階に進捗します。

Tip医師・クリニック経営の方もご専門分野に於ける Business Plan で申請が可能が場合があります。その他、工学、技術系、コンピューター関連、バイオテクノロジー、プロフェッショナル(文科系)専門職分野でご職歴のある方でご興味のある方はお問い合わせください。アイデア・ビジネスプランの立案・作成についてはご経歴・専門分野に応じサポートを行っております。

カナダ　スタートアップビザプログラム　イメージ
ポイント:
"Letter of Support" 取得の成否は、投資家が立案するビジネスプランが確実なマーケットリサーチに基づいたものであり、採用するソフトウェア開発技術等が第三者の知的所有権を侵害しないものであること等となります。私共ではこの分野の法的専門サポートもいたしております。

規定されている必要生活資金:
カナダ移民法では、投資金とは別に、申請者自身と扶養家族の当面の生活資金を十分保有していることを示す必要があります。これはカナダ永住権・全カテゴリーに共通する基準です:

	$12,960		家族人数 1名
	$16,135		家族人数 2名
	$19,836		家族人数 3名
	$24,083		家族人数 4名
	$27,315		家族人数 5名
	$30,806		家族人数 6名
	$34,299		家族人数 7名

前述の米国・就労ビザ(H-1B) の規定改定等の状況を背景にカナダ・スタートアップビザプログラムへの申請者が直近 3-4年で急増しており、2019年のスタートアップビザ・ビザ認可は 510ケースに達し、2018年の 250ケースから倍増となりました。このプログラムの特徴は、カナダ連邦政府が運営していることから就労・居住先は、ケベック州を除く、カナダ国内の主要都市となります(e.g. バンクーバー, トロント, ウィニペグ等)。永住権認可・ビザ発給後はカナダ国内の希望される何れの州・都市にも居住が出来ます。

通常、州レベルで運営する起業家・投資家プログラムでは、1～2年以上の管理職・事業運営経験が必要とされていますが、この連邦政府が運営するスタートアップビザプログラムでは、管理職・事業運営経験は審査に於いて有利な要素となりますが、必須要件とはされておりません。

スタートアップビザ・就労ビザ認可後の注意点:

カナダ国内に法人設立(ケベック州は除きます)。
上記、カナダ法人議決権10％以上保有。
別の者が単独で法人議決権50％以上を保有することは認められません。
同一プロジェクト・法人で最大5人(= 5家族)の方が永住権申請を認められます。

スタートアップ・ビザ統計データ :
情報公開請求により 2021年8月にカナダ移民局(IRCC)から取得した 2015年から2020年迄の最新データによりますと、スタートアップビザプログラム(SUV) の申請受理件数が直近の数年間で着実に増加しております。2015年には160件だった申請件数が 2019年には1,173件迄急増した後、2020年には719件迄で減少、これは COVID-19 による一時的要因と推定されます。

ベンチャー支援機関について:
カナダ移民局(IRCC)が指定するベンチャー支援機関には下記、三つのグループに分類されております:

　1. Canadian venture capital funds
　2. Canadian angel investor groups
　3. Business incubators

前述の取得データによりますと、2015年から2020年の間に提出された計3,494件の申請件数の内、2,764件（79.1％）が Business incubators から Letter of Support を取得しております。そしてスタートアップビザプログラムで受理された全ての申請ファイルの内、ビザ認可の成功率 76.3%となっており、内訳は下記の通りです:
　　
　Canadian venture capital funds: 43%
　Canadian angel investor groups: 80%
　Business incubators: 78%

カナダ移民局(IRCC) は、スタートアッププロジェクトへの参加メンバーのカナダ国内でのプロジェクトの積極的展開・成功をサポートする目的でカナダへの移住を優先的に認可しております。なお 2019年と2020年に於いて香港テリトリーからの申請者の100％がビザ認可取得に成功しております。

エクスプレスエントリー申請資格スタートアップビザ・プログラムからエクスプレスエントリーへの申請資格取得の手順を説明いたします:

Step #1:
ビジネス移民プログラムに於いて就労ビザの申請を行います。カナダでは、エクスプレスエントリー制度に準拠した複数のビジネス移民プログラムを運営しており、その一つがスタートアップビザとなります。このカテゴリーで就労ビザを取得する為には信頼出来るデータに基づいた市場調査、Innovative Business Model または New Technology 等をベースとした Business Plan を立案、カナダ移民局認可・ベンチャー起業支援機関から "Letter of Support" を取得します。

Step #2:
就労ビザ取得後、カナダ国内(e.g. ベンチャー起業支援機関) で12ヶ月間、フルタイムの管理職としてベンチャービジネスに従事します。

Step #3:
就労ビザでフルタイムの管理職として12ヶ月間の就労をしますととエクスプレスエントリー・CRSスコア算定に於いて追加で 250点を獲得出来ます。エクスプレスエントリーのカットオフスコアは 440～480点の間で変動しており、この追加の 250点によりエクスプレスエントリー・ITA (= Invitation to Apply) 取得の可能性が極めて高くなります。

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